Life is enjoy and goodjob

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【書評】『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島 聡(文響社)

「あなたは締め切りを守ったことがありますか」

学生時代の宿題に始まり、社会人になってからも”締め切り”はしつこくつきまとってくる厄介な存在です。

著者である「伝説のプログラマー」中島聡さんは夏休みの宿題をきっかけに生まれた「ロケットスタート時間術」をつかって「締め切りを死守することによるメリット」を享受してこられました。たとえばWindows95のプロトタイプ(最低限の機能で動作するプログラム)をプレゼンしてビル・ゲイツに認められた結果、発売に至った逸話などが本書に詳しく書かれています。

締め切りは先だからといって悠長にかまえていると予測していなかった事態が起きてしまい締め切りが守れなかった、という経験が誰にでもあるとおもいます。
”締め切り"という言葉に居心地のわるさを感じてしまう全人類にオススメしたいのが本書です。

 

ロケットスタート時間術とは

ロケットスタート時間術」では締め切りまでの期間を仮に10日間と設定しています。中島さんは最初の2日間で全体の8割の仕事を終わらせろ、というのです。(実際には2割をロケットスタート、残り8割を流しで仕事を行う)
理想ではありますがなかなかむずかしいですよね。
勢いに乗って3日目も頑張って残りの2割を終わらせよう、という流れになりそうですが、ここからの話が興味深いのです。
中島さんは「残り8日間で2割の仕事と細々した雑務をしなさい」というのです。というのも3日目に10割仕上げてしまうと、上司に「仕事を早く終わらせられる」という期待から、次々と仕事を振られ物理的に余裕がなくなってしまうからです。

ロケットスタート時間術」が軌道に乗ると仕事だけでなく人生にも影響を与えるようになります。
余った時間ができるので、キャリアアップしようと勉強する方もいらっしゃるとおもいます。中島さん自身も好奇心が旺盛な方で、興味がある分野については日々勉強されています。勉強に関して中島さんからの注意があります。
それは「勉強のための勉強をしない」こと。「なんとなく将来に役立つかもしれない」という理由でしてしまう勉強のことですね。そんな勉強は長続きしません。
強烈な動機があり、必要に迫られれば人間は大抵のことができるようになります。
勉強というものはあくまでツールであり、目的ではないのです。

 

好きなことをやり続けるのが幸せな人生

「勉強のための勉強」を敬遠していた中島さんがMBAを取得するほど追い詰められたときのこと。
中島さんがマイクロソフトから独立して設立したUIEvolutionですが、順風満帆ではなかったそうです。
MBAに意味はなかったと言い切ってしまいます。
「なぜマイクロソフトに在籍していたときのようにうまくいかないのか」自問自答したところ、ひとつの答えが見つかります。
それは「Windows95のチームが特別だった」ということ。
「俺たちが何よりもまず先にWIndows95を出して、まずアップルをぶちのめす」「IBMをぶちのめす」「そうして、世界に俺たちのほうが正しいことを証明してやる」といった意識を共有するチームだったそう。
ある意味、過激ではありますが、チーム全体の士気が非常に高かったことが伺い知れます。
そんな”怖いもの知らず”なWindows95チームに所属していた時期はすごく楽しかった思い出しかない、とのこと。

共通の目的をもった者同士が目的にむかってひたむきに走り続けていたときこそ、結果が出るのです。

人生にとって一番大切なのは、自分の好きなことをやり続けること。幸せになれる行動を取らない限り、人は幸せにはなれないということ。
いくら有用な時間術を駆使しても幸せになれなければ意味がないのです。

時間術を意識しなくても圧倒的な結果を残したWindows95チームのように。

ロケットスタート時間術は嫌なことから逃れたいときに効力を発揮します。自分の幸せのため好きなことに打ち込みましょう。
もし今好きなことが見つからなくても大丈夫。この時間術で作り出した時間を使って"好きなこと探し"を始めましょう。

幸せになるために中島さんが絶対にすべきと強く訴えることが、明日やることのタスクリストを作ること。目安はタスクひとつにつき所要時間15分。
もちろんロケットスタートをきって、全体の2割の時間で8割の仕事を片付けましょう。
半年だけでも耐えて成果をあげてみよ、というのです。


まとめ

本書を頭から読み進めていると、ロケットスタート時間術についてのノウハウ本と勘違いしてしまいます。
しかしながら後半に向かうにつれ、中島さんから発せられる熱いメッセージが中心になってきます。

「嫌なことで人生を浪費するぐらいなら、さっさと終わらせて好きなことを探してみよ」
「時間術はあくまで道具・ツールであり、それをどう使って人生を楽しみつくすのか」
「あなたは人生の締め切り=死について、どこまで向き合っているのか」
「何年生きるつもりで行動しているのか」
そんなヒリッとする命題が突きつけられます。

 

以前の書評

8年分の時間を何に使いますか?『できる人は超短眠!』堀 大輔 (フォレスト出版) - Life is enjoy and goodjob

と同様、本書『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』も是非ともみなさんに読んでいただきたいと思い、このエントリーを書き上げました。超短眠の内容も「時間」を重要視しています。僕は時間=命と考えているので、書かないわけにはいかなかったのです。この二冊は本当にオススメです。

ちなみに本ブログのタイトルである「Life is enjoy and goodjob」も中島さんのブログ「Life is beautiful」をもじったものだったりします。 

 

最後に中島さんの言葉でこの書評を締めくくりたいと思います。

自分が本当は何をしたいのか、何になら夢中になれるのかを、できるだけ早いうちに見つけ出すことはその後の人生にとって大きなプラスになります。そんな天職を得るための努力なら惜しむことはないし、けっして無駄にはなりません。そうやって「好きなことをして生きていく」ための努力を続けている限り、(ほかの人にとっては)つらいことも苦痛ではなくなるし、喜びに溢れる人生が送れます。
〜中略〜
そして、あなたの人生の仕事は、あなたの仕事を終わらせることではなく、人生を思いっきり楽しむことです。