「人間を被る」はDIR EN GREYの優しさにあふれている
どうもEnjoyGoodjobです。
みなさん、DIR EN GREYの新曲「人間を被る」聴きました?(「被る」の読みは「かぶる」)
いろいろな角度から眺めれば、おぼろげながらも「人間を被る」のことがつかめるでしょう。
あーだこーだと感想言っていきましょうね!
DIR EN GREY「人間を被る」を理解する一助になれば幸いです。
ではさっそく、僕の感じたことをお伝えします。
「人間を被る」とは
「人間を被る」の「人間」とは、"常識"、"世間の目"、"押し付けられた価値観"だと定義しました。
前のシングル曲「詩踏み」の歌詞を引用すると"誰しもが信じていた答え"ですね。歌詞の続きのように"正しいとは限らない"のは「人間を被る」の世界の中でも変わらないようです。
常識にしばられて思うように生きられないことに失望・落胆しながらも、それを現実として受け入れている歌詞世界。
歌詞の世界観とPVの世界観は、別物と考えています。
PVではフードに書かれた文章が「人間」の定義でしょう。歌詞の世界観が直接PVの世界観に影響はしていないかなと(文章の詳細は後述)
「人間を被る」が作品として完成するには、歌詞が書き上がってからPVが製作されているはずなので、その順で読み解いていきましょう。
歌詞の世界観
「人間を被る」の歌詞には「好きなことができずに悶々としていてもいいじゃないか(病み多め)」というメッセージが込められています。
自分なりに歌詞を咀嚼したのですが「ネガティブな感情に対する肯定感が強いな」と感じました。
ごらんのとおり歌詞全般にはネガティブな感情がゴウゴウとうずまいているんですよ。
「憎悪の塊」
「最低最高の出来」
「夢を見ているお前が死ね」
でも対称的に前向きな言葉が、曲中で何度も繰り返されます。
その回数なんと12回!
12回も登場するのはこの言葉だけです!
「Blessing to lose heart=失望に祝福を」
実はPV内でもロシア語に訳されて表示されています。
最後の最後まで叫びつづけて、楽曲は終わりをむかえる。
歌詞の世界観を構築している"強烈にネガティブな感情"が、「lose heart=失望」という単語に凝縮されているようにも感じました。
苦しい、憎い、心が折れた、へこむ、、、それでも激烈な感情が沸き起こったことを祝福しようじゃないか、と訴えているんです。
ここで気づきましたが歌詞に「残響Twelve」とありましてね、、、12回繰り返している言葉って、、、まさかね。。。
こんなこと指摘しても、京さんは「ぐうぜんやろ、きょうみない」と一蹴されそうですが笑
PVで表現されているもの
↑ 規制解除版のPV
もう、これは、パッケージにもなっているように、すごいインパクトのあるビジュアルですよね。
PVの解読は影虎さんのツイートを参考にさせてもらいました!ありがとうございます!
人間を被るのロシア語を私なりに訳してみました。間違っているかもしれないですし色んな表現の仕方があると思いますが参考までに。 pic.twitter.com/pkAvOkji08
— 影虎 (@xxkageboushixx) 2018年4月25日
人間を被るのMVのロシア語も訳してみました。「(映像が)速いんじゃあぁぁ!!」とか一人で叫びながら一時停止しましたが楽しかったです。(1:11~)のは最後の文章と同様です。灰色の銀貨!!!!! pic.twitter.com/rBaNJOGxj8
— 影虎 (@xxkageboushixx) 2018年5月7日
キーになるのは「フード(に描かれた数字、文章)」です。
「人間を被る」=「フードを被る」とすると「フード=人間」ということになります。
フードという単語自体も歌詞に出てきます。
フードに描かれているのは「数字(1:京さん、2:薫さん、3:Shinyaさん、4:Toshiyaさん、5:Dieさん)」と、
ロシア語で「我々は完璧な生物ではない=Мы не совершенные существа、悪意を持って生きる=жиьушие с порочными намерснигми」
(円卓に座っているメンバーを描かれた数字の順で線を引くと「五芒星」になります。京さんの正面の席にも食器が並んでいて、そこも含めると「六芒星」になりますね。これらの解釈は、神秘的な意味合いだったり悪魔的なものだったりで、判断がむずかしいです。)
PV「人間を被る」の世界観における「人間」とは「悪意を持った生きもの」である。
PVの描写
輪切りになりメンバーの血肉となる卓上人間
卓上人間から吹き上がる色とりどり液体(血液)
円卓に並べられた食器に突っ伏したメンバー全員に液体(血液)がかかる
京さんが起き上がると、人ならざるモノの手が顔面を割って中から出てくる(ここでPVが途切れる
卓上人間の血肉を取り込み、フードの中身が出てこようとしたところでPVは終わります。
フード=人間なので、中に隠れていたのが本質・正体なのでしょう。でも手の形から人間ではなさそう。
「人間の皮を被った悪意のある生き物」が人間の根源であることを表しているようです。
まとめ
誰が正しいとかどうでもいい
誰のルールで生きてる?
誰の為に生きる?
誰の為に生きるのだろう?
ここの歌詞だけ切り取ると、いまの時代にピッタリでさすがだな、と。
インターネットの発展からAI、自動運転 、ブロックチェーンでこれからの社会は、大きく変化することは確実です。
過去の価値観がひっくり返るのは時間の問題です。
周りの環境に振り回されてネガティブに陥いるぐらいなら、そもそも自分は何のために生きるのかを問い直すべきでしょう。
ホリエモンや落合陽一博士の発言をよく読みますが、両氏ともに共通するのが「悩んでる暇があるなら、自分な好きなことをしながら動け」ということを言っているんですよね。ウジウジと悩んでいるのは時間の無駄だ、とバッサリ切り捨てます。
しかしながらDIR EN GREYは「Blessing to lose heart=失望に祝福を」と、ネガティブな感情を肯定してくれるんですよ。すんごく優しい。
凹んだっていい、心が折れたっていいじゃない。DIR EN GREYがいるんだから。
以上です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
※追記
本文でも紹介しましたが、DIR EN GREYとは対称的な意見をもつホリエモン氏。
彼の考えがわかりやすい記事を見つけました。
本エントリーと合わせてどうぞ!
【書評】『月給プロゲーマー、1億円稼いでみた』梅崎伸幸 主婦と生活社
どうもenjoy_goodjobです。
タイトルを見て閲覧してくださったみなさんは「e-Sports」や「プロゲーマー」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
ゲームだけで生活できるものなの?賞金で一攫千金?怪しくない??
気になりますよね。
エレクトロニック・スポーツ(英: electronic sports)は、複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ・競技として捉える際の名称。 eSports(eスポーツ)と省略した形で使われることのほうが多い。
ご覧のように新しい言葉ではあるものの、最近注目を集めています。
プロゲーマーのフルタイム雇用/月給制をいち早く導入し日本のe-Sportsシーンを牽引するプロチーム「Detonation Gaming(デトネーション ゲーミング)」のCEOであり株式会社Sun-Genceの代表取締役である梅崎伸幸氏の著書「月給プロゲーマー、1億円稼いでみた」をご紹介します。
ウメハラ氏やときど氏などプロの格闘ゲームプレイヤーも多数の書籍を出版されていますが、e-Sportsシーンでマネージャーをされている方の著書としては初めてではないでしょうか。
enjoy_goodjobのゲーム観
書評に入る前に僕のゲーム観についてお話しさせてください。
書評はよ!って方は飛ばしてくださいね。
僕は1982年生まれ、今年で35歳になります。
ゲームとの出会いはファミコン(1983年発売)でした。友達との遊びといえば、外で遊ぶかファミコン、というのが当たり前になる初めての世代ですね。
著者の梅崎伸幸氏も1983年生まれですので世代は同じです。
僕たちはテレビゲームと共に成長してきた世代とも言えます。
でもゲームをするってどこか後ろめたくないですか?
ゲームはテレビと並んで「親から怒られる対象」ですもの。
みなさん親に小言を言われながら泣く泣くゲームを止めた経験があるかと思います。
「そうそう!」とうなずいてらっしゃることでしょう笑
対して、テレビは親世代も観るからゲームほどには怒られない。なんという不条理。
親世代から目の敵にされていたゲームが今、日の目を見ようとしているんです。
ゲームをするだけでお金がもらえる時代になりました!
e-Sportsの知名度向上、インターネットの発達によって、ゲーム会社だけでなく大会で活躍するプレイヤーやゲーム配信者へもお金が入りやすくなってきたんです。
ファミコンど真ん中世代が社会で活躍する30代になったことも影響しているでしょうね。
大会での賞金やスポンサー収入といったお金の話が絡むとはいえ、僕たちの幼少時代には想像もできなかったことがこれから起きようとしています。
親がこんな状況を目の当たりにしたら「もっとゲームしなさい!」なんて小言を言うかもしれません。
そんな時代が目前に迫ってきています。
みなさんが感じていた「ゲームをプレイする後ろめたさ」をe-Sportsがきれいさっぱり払拭してくれることでしょう。
▼本書の読みどころ
▼プロゲーマー
▼e-Sportsシーンの現状
▼e-Sportsシーンのこれから
▼プロゲーマー
▼▼プロゲーマーチームDNGについて
DNGのゲーミングハウスでは「League of Legends」というタイトルをプレイする選手たち(Detonation Focus Me, 以下DFM)が寝食を共にして生活しています。梅崎氏やその他スタッフは別の住まいから通っており、体制が整ったのはここ1年だそうです。
「ゲームをすること」が仕事であり、パソコンや周辺機器が揃った環境で24時間ゲームに集中できるようになっています。
▼▼プロゲーマーとしての立ち居振る舞い
プロゲーマーにも社会人としての常識が身についていることを大事にしており、コミュニケーション能力やチームにきちんと貢献できるかどうかが査定されているとのこと。毎週月曜日はジムの日(ランニング、筋トレ)になっているとも。
「ゲームが好きだとしても向き不向きがあるので適性をきちんと見極める」「プロたるもの身だしなみには気をつける」などなど。
僕も社会人10年目を超えましたが、社会人としても非常に大事だということを痛感しています。
▼▼プロゲーマーの収入
DNGの収入=7割:3割=スポンサー料:グッズ販売+イベント出演料+賞金
意外にも大会賞金は臨時収入とのこと。特に日本は規制が多く高額の大会は開かれていないので当然といえば当然ですね。
そして選手個人の給与。
こういう下世話な話題って好きでしょ?笑
DFMの一軍の選手平均で月給20万円+(イベント出演料+グッズ販売)。強ければさらに上乗せされるそう。
実力主義でわかりやすいですね。
ただ衣食住の費用はDNG持ちなので、税金を差し引かれた全額が選手の自由になるようです。
▼e-Sportsシーンの現状
▼▼e-Sportsのジャンル
e-Sportsとして確立しているジャンルは、格闘、シューティング、カードゲーム、スポーツ(サッカー等)、LoLをはじめとするMOBA(MUlti Online Battle Arena)
日本が唯一世界に通用するのは格闘ゲーム。ストリートファイターのウメハラ選手が有名ですね。
▼▼e-Sportsの賞金
直近だと、2017年6月10日(土)にベルサール高田馬場で行われたesports大会「RAGE(レイジ)」の賞金は3タイトル合計で1200万円を超えています。
『Shadowverse(シャドウバース)』:700万円超え
『ストリートファイターV』:300万円
『ウイニングイレブン 2017』:200万円
世界に目を向けると賞金額がものすごいタイトルがあります。
「Dota2(ドータ ツー)」というタイトルで賞金総額なんと22億円!
課金システムに賞金が莫大になる仕組みがあるとのこと。すごい額です。
DNGに所属するDFMが競技を行っているタイトル「League of Legends」の賞金総額は2億円強。
Dota2には見劣りするものの1タイトルでもRAGEの3タイトルの20倍弱という数字です。
▼▼e-Sportsの市場規模
(本書には含まれていない内容です。enjoy_goodjob調べ)
市場規模は2016年の全世界で約1000億円だったそう。
2016 年世界 e スポーツ市場規模は、8.92億米ドル。 スポンサーや広告での収入が約7割。
▼▼競技人口
下記は競技人口が多いスポーツ。
1位 バスケットボール 4億5,000万人
2位 サッカー 2億5,000万人
3位 クリケット 1億5,000万人
4位 テニス 1億1,000万人
5位 ゴルフ 6,000万人
e-Sportsは1億人超と言われているので、複数タイトルとはいえ3~4位になります。
▼e-Sportsシーンのこれから
▼▼プロゲーマーのセカンドキャリアは明るい
プロゲーマーを引退した後はゲームやパソコン関連企業はもちろんのこと一般企業からも引く手あまたとのこと。戦略をもってチームプレイができて、なおかつ成果を出している人は重宝されるに決まっています。
アスリートがセカンドキャリアとしてスポーツ用品メーカーやスポーツキャスターへ転職するのと一緒ですね。
▼▼2022アジア競技大会にe-Sportsが正式種目として追加
アジア競技大会とは、アジアの国々のための総合競技大会で「アジア版オリンピック」とも言われています。基本的に、オリンピックと同様のスポーツが行われるが、アジアの地域性を反映したオリンピックにはない独特の競技も行われている。
団体競技では翌々年のオリンピック出場枠を争うアジア予選を兼ねる場合があり、個人競技でも同じ国の選手同士で翌年度に集中する夏季オリンピック選考の重要な前哨戦ともいわれる。
2024年のオリンピックにはe-Sportsが正式種目になっていることは確実でしょう。しかしながら梅崎氏の目標は「2020年東京オリンピックでe-Sportsを公開種目にする」としておりIOC・国際オリンピック委員会へ働きかけているそう。
僕もそうであってほしい!!
▼著者 「梅崎 伸幸氏」
プロゲーマーという言葉が日本で一般的になるより以前からe-Sportsシーンで活躍されていた梅崎伸幸氏
プロチームDNGを率いるCEOという立場ですが数年前まではプレイヤーとして活躍されていました。
「Counter Strike」というゲームで世界大会に出場するほどの腕前だったそうです。
また日本eスポーツ連盟共同代表理事も務められています。
▼おまけ 本書の装丁
装丁はファミコン世代には懐かしいドット絵です。Zerost選手が似すぎていてかわいい笑
▼まとめ
以上、本書の内容をお伝えしましたが、いかがでしたか?
特に読んでほしいのは「ゲームをしない方」なんです。
人はどうしても「見たい情報」しか見なくなります。自分の常識に縛られ、見知ったものしか受け付けなくなります。特に歳を重ねるとそうなってしまいます。
ゲームと縁が少ない方にこそ、手にとっていただきたいです。
もちろんゲームが好きな方にも読んでもらって、発展していくe-Sportsシーンの現状、課題を知ってもらいたいです。
ゲームをするだけではなく、このエントリーのように幅広い方に知ってもらうような活動をしてもいいでしょう。
僕は上手くはありませんがゲームが好きで、文章を書くことが苦にならないのでこうやってお伝えしています。
好きなことがあれば声高に好きだと叫んでください。言わないままだとあなたの気持ちは誰にも知られず終わってしまいます。発信者のモチベーションにもつながるでしょうからあなたの声を届けてあげてください。(このエントリーに対する感想をもらえると喜びます。)
僕も積極的にe-Sportsに携わりたいなぁ、と考えています。
プレイヤーというのはシーン全体からみるとほんの氷山の一角ですからね。
大会実況・設営や広告、選手に対するサポート、プロチームのファンなどの様々な人々を巻き込んでe-Sportsシーンは成り立っています。
まさに今のメジャースポーツと同じですよね。
世の中からゲームをすることの後ろめたさをなくしたいんです。
実際、僕のコンプレックスだったりします。
サッカーや野球、バスケットボール等メジャースポーツをするとなったら積極的に応援されるのに、いざゲームとなると途端に非難されるのはどうしても納得がいかないのです。
人と人が競い合う同じスポーツじゃないか!!、と。
e-Sportsがメジャーになったと判断できる一つの指標は「ご贔屓のチームが敗れた翌日に機嫌が悪くなるオヤジが出てくる」ことだと思います。
※画像はイメージ
DFMが惨敗した日にゃ1日機嫌が悪い、近づくな、と周りから敬遠されてしまうようなオヤジ。
それだけそのチームを期待して応援しているってことですよね。
気持ちが入って熱量が高いということは周りにも伝搬しているはずです。
じゃ、これから皆んなでe-Sportシーン盛り上げちゃいますか。
最後まで読んでくださってありがとうございました!!
<2017/7/9追記>
本日Vainglory大阪オフ会に行ってきました!
いろいろいただきました。
・Detonation Gaming ふみやっちょ選手のサイン※ゲーム内での名前=ViviRoyal(あえて梅崎本)
・期待の新星U者君のサイン
・リストバンド「vainglory off in Osaka」
<2017/7/6追記>
7/3~6の日程で行われていた LoLの地域大会「Rift Rivals」で日本代表チームが東南アジア代表チーム、オセアニア代表チームをおさえ優勝しました!おめでとうございます!
日本、LJLチーム優勝おめでとう!!! pic.twitter.com/8eqCYZJ68C
— 梅崎 伸幸(Umezaki) (@LGraN_jp) 2017年7月6日
【#RiftRivals2017 Final】#LJLWINhttps://t.co/rbSLMPI2ij pic.twitter.com/L4QJnIEaBK
— DetonatioN Gaming (@team_detonation) 2017年7月6日
【#RiftRivals2017 Final】
— LJL公式アカウント (@Official_LJL) 2017年7月6日
これにてRift Rivals 2017の全日程が終了しました。国際戦でついにLJLが優勝、これは歴史に残る日となるでしょう!
RPG、DFM、そしてUSGのプレイヤーたちに惜しみない拍手を!
GGWP!#LJLWIN pic.twitter.com/y6ZQTyI4aE
▼ LoLの地域大会「Rift Rivals」公式ページ
【書評】『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島 聡(文響社)
「あなたは締め切りを守ったことがありますか」
学生時代の宿題に始まり、社会人になってからも”締め切り”はしつこくつきまとってくる厄介な存在です。
著者である「伝説のプログラマー」中島聡さんは夏休みの宿題をきっかけに生まれた「ロケットスタート時間術」をつかって「締め切りを死守することによるメリット」を享受してこられました。たとえばWindows95のプロトタイプ(最低限の機能で動作するプログラム)をプレゼンしてビル・ゲイツに認められた結果、発売に至った逸話などが本書に詳しく書かれています。
締め切りは先だからといって悠長にかまえていると予測していなかった事態が起きてしまい締め切りが守れなかった、という経験が誰にでもあるとおもいます。
”締め切り"という言葉に居心地のわるさを感じてしまう全人類にオススメしたいのが本書です。
ロケットスタート時間術とは
「ロケットスタート時間術」では締め切りまでの期間を仮に10日間と設定しています。中島さんは最初の2日間で全体の8割の仕事を終わらせろ、というのです。(実際には2割をロケットスタート、残り8割を流しで仕事を行う)
理想ではありますがなかなかむずかしいですよね。
勢いに乗って3日目も頑張って残りの2割を終わらせよう、という流れになりそうですが、ここからの話が興味深いのです。
中島さんは「残り8日間で2割の仕事と細々した雑務をしなさい」というのです。というのも3日目に10割仕上げてしまうと、上司に「仕事を早く終わらせられる」という期待から、次々と仕事を振られ物理的に余裕がなくなってしまうからです。
「ロケットスタート時間術」が軌道に乗ると仕事だけでなく人生にも影響を与えるようになります。
余った時間ができるので、キャリアアップしようと勉強する方もいらっしゃるとおもいます。中島さん自身も好奇心が旺盛な方で、興味がある分野については日々勉強されています。勉強に関して中島さんからの注意があります。
それは「勉強のための勉強をしない」こと。「なんとなく将来に役立つかもしれない」という理由でしてしまう勉強のことですね。そんな勉強は長続きしません。
強烈な動機があり、必要に迫られれば人間は大抵のことができるようになります。
勉強というものはあくまでツールであり、目的ではないのです。
好きなことをやり続けるのが幸せな人生
「勉強のための勉強」を敬遠していた中島さんがMBAを取得するほど追い詰められたときのこと。
中島さんがマイクロソフトから独立して設立したUIEvolutionですが、順風満帆ではなかったそうです。
MBAに意味はなかったと言い切ってしまいます。
「なぜマイクロソフトに在籍していたときのようにうまくいかないのか」自問自答したところ、ひとつの答えが見つかります。
それは「Windows95のチームが特別だった」ということ。
「俺たちが何よりもまず先にWIndows95を出して、まずアップルをぶちのめす」「IBMをぶちのめす」「そうして、世界に俺たちのほうが正しいことを証明してやる」といった意識を共有するチームだったそう。
ある意味、過激ではありますが、チーム全体の士気が非常に高かったことが伺い知れます。
そんな”怖いもの知らず”なWindows95チームに所属していた時期はすごく楽しかった思い出しかない、とのこと。
共通の目的をもった者同士が目的にむかってひたむきに走り続けていたときこそ、結果が出るのです。
人生にとって一番大切なのは、自分の好きなことをやり続けること。幸せになれる行動を取らない限り、人は幸せにはなれないということ。
いくら有用な時間術を駆使しても幸せになれなければ意味がないのです。
時間術を意識しなくても圧倒的な結果を残したWindows95チームのように。
ロケットスタート時間術は嫌なことから逃れたいときに効力を発揮します。自分の幸せのため好きなことに打ち込みましょう。
もし今好きなことが見つからなくても大丈夫。この時間術で作り出した時間を使って"好きなこと探し"を始めましょう。
幸せになるために中島さんが絶対にすべきと強く訴えることが、明日やることのタスクリストを作ること。目安はタスクひとつにつき所要時間15分。
もちろんロケットスタートをきって、全体の2割の時間で8割の仕事を片付けましょう。
半年だけでも耐えて成果をあげてみよ、というのです。
まとめ
本書を頭から読み進めていると、ロケットスタート時間術についてのノウハウ本と勘違いしてしまいます。
しかしながら後半に向かうにつれ、中島さんから発せられる熱いメッセージが中心になってきます。
「嫌なことで人生を浪費するぐらいなら、さっさと終わらせて好きなことを探してみよ」
「時間術はあくまで道具・ツールであり、それをどう使って人生を楽しみつくすのか」
「あなたは人生の締め切り=死について、どこまで向き合っているのか」
「何年生きるつもりで行動しているのか」
そんなヒリッとする命題が突きつけられます。
以前の書評
8年分の時間を何に使いますか?『できる人は超短眠!』堀 大輔 (フォレスト出版) - Life is enjoy and goodjob
と同様、本書『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』も是非ともみなさんに読んでいただきたいと思い、このエントリーを書き上げました。超短眠の内容も「時間」を重要視しています。僕は時間=命と考えているので、書かないわけにはいかなかったのです。この二冊は本当にオススメです。
ちなみに本ブログのタイトルである「Life is enjoy and goodjob」も中島さんのブログ「Life is beautiful」をもじったものだったりします。
最後に中島さんの言葉でこの書評を締めくくりたいと思います。
自分が本当は何をしたいのか、何になら夢中になれるのかを、できるだけ早いうちに見つけ出すことはその後の人生にとって大きなプラスになります。そんな天職を得るための努力なら惜しむことはないし、けっして無駄にはなりません。そうやって「好きなことをして生きていく」ための努力を続けている限り、(ほかの人にとっては)つらいことも苦痛ではなくなるし、喜びに溢れる人生が送れます。
〜中略〜
そして、あなたの人生の仕事は、あなたの仕事を終わらせることではなく、人生を思いっきり楽しむことです。